からすぶろぐ

雑多な長文

OILPRICE.COMに出会う

私は数年前から英語学習を続けている。

 

が、最初に比べるとペースが落ちている。問題ははっきりしていて、それは教材の選定に起因する。私はリーディングを学習の中心に置くのだが、そのために使用する読み物を選択するにあたり、自分のスキル水準に合ったものと読みたいものが全く一致しないのである。もう少し具体的に言うと、私のリーディングレベルはせいぜいネイディブの小学生~中学生並みぐらいだが、小学生用の英文は幼稚すぎて興が削がれるため、学習が長続きしないのである。


この問題にぶち当たって学習ペースがピークを過ぎると、別の問題が起こった。一昨年前だと仕事が忙しかった。去年から今年にかけてはトレードの研究に時間を費やした。おかげで学習時間がほとんど失われてしまった。現状では1日平均が10分ぐらいだ。細々としたものである。

 

私は何を読むべきか?打開するすべは見つからないまま日々が過ぎていった。しかし、ごく最近になって変化が訪れた。
 
きっかけは3月の原油価格下落以降、エネルギーセクターの米国株を買ったことに始まる。シェブロンその他有象無象のボロ株を買ったものの、石油業界の事情にうとい私は情報収集を始めた。調べ始めるとリサーチの作業がかなり面白いことに気付いた。そもそも石油は米国においては主要な産業の一つであり、その市場は多様で大規模であり、それに伴って本国の情報メディア分析メディアは非常に発達している。ニュース記事は言うに及ばず、手間暇かけて作成される分析レポートも日々山のように生み出されている。私がこの石油情報の洪水を気に入る理由は、様々な知的分野にまたがって議論するケースが多い点にある。石油は掘削の「テクノロジー」からそれを商業化するプロセスが重要だが、それ自体を巡っていくつも戦争が起きるほど「政治」的に重要な物資でもあり、したがって社会全体に与える「経済」インパクトも大きい。エネルギーセクターにおけるニュースやレポートは、単に市場の統計分析のみに留まらず、石油掘削技術と市場価格との関連、政治情勢から技術投資への影響、あるいは市場・政治・技術・すべて巻き込んだ議論など、基本的に単独の分野だけで議論が完結しない。読み始めて気付いたのだが、私の趣味趣向はこの手の分野横断的な話にマッチするようだ。読んでいてかなり楽しい。
 
さて、エネルギーセクターの情報メディアの渡り歩いていくうちに一つのウェブサイトに出遭った。その名もOILPRICE.comという。"The No.1 Source for Oil & Energy News"という謳い文句が真実かどうか私に知るすべはないが、文章の質は高いと思う。4月の終わりごろから1日も欠かさずこのサイトの記事を読み続けていて、私のお気に入りのメディアだ。このサイトはニュースサイトだが、よくある他の報道機関の記事の寄せ集めではない(情報の引用・リンクはある)。自前でライターを雇って記事を生産している。多くのライターがいるようだが、情報の密度は高く、記事内容も統一感がある。文章はもちろん平易ではないが、毎日読めば業界ならではの文脈は掴めるようになるので意外と理解できる。しかも最近は翻訳ツールが発達しているので、読解に詰まっても機械翻訳のアシストを受けられる。
 
リーディング学習量の目安として一般的に言われるのは年間100万ワードだ。1日換算3000ワードとなる。Oilpriceでいくつか記事を読み通すと概ね3000に到達する。現状の自分には文章が難しいし読解が遅いので機械翻訳を頼るケースが多いが、毎日読んでいくうちに自然に読みこなす量が増えている。このペースが続けばトレード情報と英語読解力の一挙両得が見込める。

 

今私はその岐路に立っている。目論みの成功は、原油&エネルギーセクターのトレード成否にかかっているが、果たしてどうなるだろうか?